生命素子の現実の姿を捉えるには、分解能や特性の異なる複数の構造解析手法を組み合わせ、それらの「相関(correlation)」を用いて多面的に解析することが必要である。そのような「多次元的」な方法論を確立するとともに、単一手法では到達不可能なレベルの生命機能解明を目指す。
☆独立した手法から得られたデータをシームレスにつなぎ合わせる。
蛍光顕微鏡とクライオ電子顕微鏡観察のイメージの相関を取る(CLEM法)ことで、巨視的な細胞内での局在から微視的な分子構造までを「google earth」のようにカバーする。
X線結晶構造解析で原子分解能構造を得ると同時に、その生理的複合体中での、あるいは生理環境下での形状との相関を高精度で求め、機能分子の「真の姿」に迫る。
ダイナミクスを捉えるために、固定された原子座標と溶液中の確率論的な分子挙動(NMR、X線・中性子散乱)情報を統合する新しい手法を開発する。
Dikic, Wakatsuki, Walter, Nature Review Mol. Cell Biol., 2009