新型コロナウイルスに関する取り組み

創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関する取り組みを随時紹介します。
ウイルス名称は、International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV)において、“severe acute respiratory syndrome coronavirus 2” (SARS-CoV-2)に決まりました。病気の名称はCOVID-19です。

令和元年12月に初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、令和2年1月には、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するほど、世界的に急速な広がりを見せています。
日本でも、速やかに指定感染症に指定するとともに、対策強化として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の迅速診断法、ワクチン・治療薬の研究開発に直ちに取り組んでいます。
BINDSでは、in silico解析による医薬品研究開発#1として、ホモロジーモデリング#2で予測した、ウイルスが感染・増殖するときに働くタンパク質構造に対する、既存薬のインシリコスクリーニングによる治療薬候補の選定(ドラッグリポジショニング#3)を中心に、治療法開発に繋がる研究に取り組んでいます。

インシリコユニットによるSARS-CoV-2のタンパク質立体構造予測

リンク集(プラットフォーム機能最適化ユニットによるSARS-CoV-2の情報収集)

日本医療研究開発機構(AMED)の取組み

用語解説

#1in silico解析による医薬品研究開発

実験を生物の体で行う事を「in vivo」、細胞や物質(タンパク質など)など試験的条件で行う事を「in vitro」と手法により分けていたところ、コンピューターの進化により、それまでの知識・情報から(統計的)計算で実験結果を予測する手法が出てきたため、これを「in silico」とした(コンピューターのシリコンチップの中での意味)。実際に試験するin vitroを「Wet」、模擬実験であるin silicoを「Dry」と分けることもある。
「薬が効く」ためには、細胞の特定のタンパク質に、その薬が「うまく、くっつく(結合する)」必要がある。タンパク質の形と、薬の化合物の形が分かっていれば、この2つが結合するかどうかを、コンピューターシミュレーションで予測することができる。これをインシリコスクリーニングという。正しく予測計算できるような、ソフトウエアの使い方・条件設定が、研究者の技術となる。
計算上の結果なので、in vitroで検証する必要があるが、従来の創薬研究では、無数の化合物をin vitroで試験しており、莫大な経費と時間がかかっていたところを、あらかじめin silicoで効果がありそうな化合物に絞り込むことで、より短期間で限定的なin vitro実験で、薬になりそうな化合物を見つけられると期待されている。

#2ホモロジーモデリング

あるタンパク質のアミノ酸配列を、アミノ酸配列とタンパク質の立体構造のデータベースと照らし合わせ、よく似たアミノ酸配列は、似た立体構造(テンプレート)になると予測して、アミノ酸配列から、立体構造を計算していく手法。X線や電子顕微鏡によるタンパク質の構造解析技術の進化によって、データベースが充実し、モデリングの精度が向上している。

#3ドラッグリポジショニング

既に販売/使用されたことのある薬が、他の病気に効果がないか調べること。既存薬は、人体での吸収・体内分布・代謝・排泄、安全性(毒性)が検証されているため、臨床試験の一部または全部が免除され、より早く実際の医薬品として認められる可能性が高い。また、医薬品としての製造方法も確立されているので、医薬品として許可されれば、すぐに利用可能になる。