所属 |
① 高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 構造生物学研究センター ② 高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 構造生物学研究センター |
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氏名 |
① 川崎 政人 ② 守屋 俊夫 |
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AMED 事業 |
課題名 | 生命科学と創薬研究に向けた相関構造解析プラットフォームによる支援と高度化 |
代表機関 | 理化学研究所 | |
代表者 | 山本 雅貴 |
クライオ電子顕微鏡、単粒子解析、クライオグリッド作製
高エネルギー加速器研究機構(KEK)のクライオ電子顕微鏡(Thermo Fisher Scientific社, Talos Arctica, Falcon4(200kV))を利用した単粒子解析のためのデータ測定を支援する。グリッド作製から、データ測定、初期解析まで包括的にサポートする。スクリーニングには位相板(Volta Phase Plate)を利用可能。自動測定ソフトはEPUを利用。測定はElectron Counting modeで行い1日800枚程度、Image shiftの撮影を行えば1日3,000枚程度のデータ取得が可能である。初心者や希望者に対してはユーザー自身がグリッド作製、データ測定を行えるようサポートする。細胞生物学や医学等、構造を扱う専門分野外の研究者にはデータ解析まで行うことも可能。またサンプルまたは作成済みグリッドを送付することでリモートでの測定にも対応している。高分解能の解析が可能となるデータ取得が期待できるグリッドについては、ハイエンドマシンを有するBINDS事業に参加する他の電顕施設への展開も可能である。
また、KEK-SBRCでは総合的に構造解析のサポートを行う支援や結晶構造解析支援(支援メニューA1-7)BioSAXS支援(支援メニューA1-11)とも連携を取り、対象に応じて適切な手法で構造解析/相関構造解析(支援メニューA1-1)を行う。
典型的な利用例としては、分子量100kDa程度以上のタンパク質について、10-30μMの溶液を3μL用いて、Vitrobotにより6枚までのクライオグリッドを作製する。作製したグリッドについて、氷の厚みと粒子の有無・分布・向きの相関を確認。holeホールの明るさに基づき、数百から数千個のholeホールを選択してデータ測定(1日枠、3日枠での撮影が可能)する。必要に応じてCryoEMネットワーク、E2サイト (URL:https://www.cryoemnet.org/home)の利用に必要なClass2D解析や初期の単粒子解析についてもサポートする。(またKEKにおいても300kVの電顕を導入予定(2023年以降)であるため、将来的にはこちらに展開することも可能である)。KEKではグリッド作製・hole選択・データ測定に関する経験を、ユーザーサポートを通して蓄積しており、蓄積したノウハウに基づき、サンプル調製の条件検討に関する相談、持ち込まれたサンプルに対して、より良いグリッド作製条件・hole・データ測定条件を提案する。FEIおよび国内外のクライオ電子顕微鏡研究者の協力を受けて、グリッド作製・装置維持・光軸合わせのためのテキストを作成しており、常に同一の手順でセットアップすることにより、常に万全の状態にある装置を提供する。
高エネルギー加速器研究機構は、電顕施設のみならず、放射光実験施設(PF)と構造生物学研究センター(SBRC)が緊密に連携し、施設の高度化を進めながら構造生物学の研究支援を担当する。支援担当者(千田俊哉、川崎政人、守屋俊夫)は、構造生物学分野をはじめとし、クライオ電顕のソフト開発や画像解析など専門性の高い研究者で構成されている。SBRCでは構造解析に必要な試料調整に関する統合的な支援や、結晶構造解析(PX)、溶液散乱(SAXS)の支援も行っており、これらを含めたシームレスに相関構造解析に対応することが可能である。
高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・構造生物学研究センターHP:
https://www2.kek.jp/imss/sbrc/