C6-2 タンパク質と他の分子との相互作用部位及び複合体構造の予測

ユニット名

インシリコ解析ユニット

支援担当者

所属 ① 産業技術総合研究所 人工知能研究センター
氏名 ① 富井 健太郎
AMED
事業
課題名 ライフサイエンス研究加速のためのバイオインフォマティクス研究
代表機関 産業技術総合研究所
代表者 富井 健太郎

支援技術のキーワード

タンパク質-化合物相互作用、タンパク質複合体、リガンド結合部位、機械学習

支援技術の概要

当グループで開発したリガンド結合部位の類似性比較のためのデータベース(PoSSuM)等を利用したタンパク質立体構造・相互作用予測を実施し、これらを通してタンパク質機能解析の支援を行う。タンパク質リガンド結合部位の類似性比較および検索データベース(PoSSuM)には、およそ900万の既知および未知リガンド結合部位について、1億件を超える類似の結合部位のペアが列挙されている(下図)。このデータベースを利用して構築されたPoSSuMdsでは、ChEMBLから取得した承認済み低分子医薬品について、PDB中のそれら既知の結合部位とそれらに類似したポケットの一覧を整理し、列挙している。また、機械学習を利用した化合物-タンパク質相互作用予測モデルや結晶中の生物学的複合体推定モデルなどを開発している。さらに、タンパク質プロファイル比較に基づく高感度・高精度なタンパク質類似性検索法FORTEシリーズは、近年のタンパク質立体構造予測実験(CASP12)で、タンパク質複合体のモデリングにも有益であることが示されている。こうした技術を用いて、タンパク質と他分子との相互作用部位及び複合体構造の予測を行うことでライフサイエンス研究の推進を支援する。

支援技術の利用例

リガンド結合部位データベースPoSSuMによる、既知タンパク質構造やFORTE等による予測モデル上の潜在的リガンド結合部位の同定、さらにタンパク質の潜在的結合部位や、テンプレートであるリガンド結合タンパク質の機能およびリガンド情報等に基づくクエリータンパク質の機能推定などに利用可能であり、機能の予測や創薬などの生物学的および医薬品用のシードあるいはリード化合物などの開発機会を提供することが期待される。また、テンプレートを利用した、遠縁のタンパク質複合体予測や結晶中の生物学的複合体の推定などが可能である。

支援担当者の研究概要

蓄積するタンパク質立体構造情報からの機能予測や創薬研究などへの応用を目指し、基質結合(候補)部位の網羅的比較を可能にする高速比較手法を共同開発している。また、こうした開発手法をはじめとするバイオインフォマティクス技術を応用し、様々なライフサイエンス研究の推進を支援している。これまでに開発したプロファイル比較に基づく高感度・高精度なタンパク質類似性検索法FORTEを用いてタンパク質立体構造予測実験に参加しており、CASP12では、タンパク質複合体のモデリング部門で最上位の成績をおさめた(Proteins, 86(Issue S1), 247-256 & 274-282, 2018)。

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