所属 |
① 九州大学 大学院薬学研究院 ② 九州大学 大学院薬学研究院 ③ 九州大学 大学院薬学研究院 |
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氏名 |
① 大嶋 孝志 ② 王子田 彰夫 ③ 平井 剛 |
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AMED 事業 |
課題名 | グリーンファルマ創薬構造解析による支援高度化の推進 |
代表機関 | 九州大学 | |
代表者 | 大戸 茂弘 |
ヒット化合物の最適化、LCHF、フロー合成システム、デジタル創薬
(1)効率的な誘導体合成を可能とする Late-Stage C-H Functionalization (LCHF) などの手法を用い、ヒット化合物の最適化を行う。
(2)立体的に嵩高い置換基を有する特殊な非天然α-アミノ酸の合成技術を基盤に、それらのアミノ酸を組み込んだ非天然ペプチドライブラリーを構築し、中分子ペプチド創薬を行う。
(3)スクリーニングのヒット化合物として見出されたリガンド分子のコバレントドラッグ(共有結合医薬品)化のための分子デザインに関するアドバイス、コバレントドラッグ化した誘導体の合成供給について支援を行う。
(4)人工知能、機械学習、深層学習などの情報科学と有機合成化学の融合研究により、デジタル創薬を推進している。具体的には、リード化合物からの構造展開、化学選択性の制御法を基盤とした新規合成ルートの探索、ベイズ最適化などを活用した反応条件最適化、フロー合成による化合物の供給などを行う。
穏和な酸化的Heck反応をLCHFに適用したデュロキセチン誘導体の合成
九大院薬の津田教授、井上教授らがエコファーマによって、ラットの神経障害性疼痛を抑制することを明らかにしたデュロキセチンを、LCHFの技術を用いて高度化した(特願2015-014848、論文作成中)。
医薬品などの機能性分子を、地球環境に優しい方法で供給する「環境調和型触媒反応」を開発し、様々な生物活性天然物や医薬品の効率的な合成を行うことで、化学・薬学に貢献することを目的に研究を行っている。生物活性化合物に含まれる多種多様な官能基の存在下でも、目的とする官能基のみと選択的に反応させることができる高度な化学選択性を有する反応の開発を行い、ライブラリー構築の迅速化、ヒット化合物最適化の効率化、医薬品同士のカップリングによるハイブリッド医薬品の合成、タンパク質などの生体化合物の直接的な高機能化・ラベル化などの検討を行っている。これまでに多くの協奏機能型触媒を開発し、天然物や医薬品などの生物活性化合物及びその誘導体の効率的な合成に応用している。また、立体的に嵩高い置換基を有する特殊な非天然α-アミノ酸の触媒的合成法の開発に成功している。合成したアミノ酸の多くは全くの新規化合物であり、それらを組み込んだ非天然ペプチドライブラリーを、創薬ニューモダリティーとして活用した中分子ペプチド創薬をおこなっている。
王子田グループでは、コバレントドラッグの開発と機能評価についてのケミカルバイオロジー研究を推進している(Nature Chem. Biol. 2019, J. Am. Chem. Soc. 2020, Chem. Sci. 2022)。
また、直接的な創薬研究としては、高選択的な分子標的抗がん剤の開発(リードの高度化、大量合成、分子プローブの作成)などを行っている。