D1-5 疾患モデルマウスによる薬効評価支援(がんモデルでの解析)

ユニット名

ヒット化合物創出ユニット

支援担当者

所属 ① 九州大学 大学院薬学研究院
② 九州大学 大学院薬学研究院
氏名 ① 松永 直哉
② 大戸 茂弘
AMED
事業
課題名 グリーンファルマ創薬構造解析による支援高度化の推進
代表機関 九州大学
代表者 大戸 茂弘

支援技術のキーワード

体内時計、がん移植モデル動物、薬効評価、炎症モデル動物

支援技術の概要

各種がんモデルマウスの作成と薬効評価

がん種:ヒト、マウスにおける結腸がん、腎がん、乳がん、メラノーマ細胞、膵がんの移植モデルまた薬剤誘発性がんモデルマウス など

抗がん効果解析:がん細胞の増殖測定、他臓器への転移数の測定、体重変化測定、がん幹細胞動態解析、薬物動態解析 など

抗がん剤の適正使用:抗がん効果に及ぼす投薬時刻の影響解析(医薬品の適正使用方法の評価)、薬物動態解析 など

支援技術の利用例

各種がん細胞移植モデルマウスの作製と薬効解析。

遺伝子改変がん化細胞移植モデルマウスを対象とした薬効解析。

遺伝子改変動物のがん化と各種抗がん剤の薬効評価。

薬物送達方法の構築、薬物動態解析。

[References]
Tsuruta A et al., Mol Cancer Res. MCR-21-0786-E.2021.
Ogino T et al., ELife.10,e66155. 2021.
Naoya M et al., Cancer Res. 78,3698-3708. 2018.
Okazaki H et al., Cancer Res. 74,543-51.2014.
Okazaki F et al., Cancer Res.70,6238-46. 2010.

支援担当者の研究概要

 多くの生体機能には約24時間を1周期とする概日リズムが認められ、その本体は視神経が交差する視交叉上核に位置する。近年、これら概日リズムは時計遺伝子と呼ばれる一連の遺伝子群が約24時間周期で発現の増減を繰り返すことによって引き起こされることが明らかになってきた。
 支援者は、抗がん剤を中心に体内時計の分子機構を基盤にした時間薬物送達方法の構築及び、体内時計機構に作用する薬の探索と創薬を通して、時間生物学の実践的臨床応用への道を切り開くことを目的に研究を実施している。これらの研究は、大学の研究室のみならず製薬企業や医療施設との共同で展開し、時間生物学的所見を創薬及び医薬品適正使用に応用するシステムの構築を目指している。支援者は正常細胞とがん細胞との遺伝子発現リズムを解析し、がん幹細胞の特性を解析した(Ogino T et al., Elife 2021.Matsunaga N et al., Cancer Res 2018)。さらに、がん免疫療法の治療標的分子であるPD1の発現を腫瘍関連マクロファージに着目し解析し、PD1阻害剤の至適投与方法に関する基礎研究成果を報告した(Tsuruta A et al.,Mol Cancer Res 2022)。また、がん細胞に特徴的な発現リズムを示す分子を同定し、その分子の発現リズムを標的に薬物をがん細胞により多く送達する技術(時間薬物送達法、Okazaki F et al., Cancer Res 2010)の構築や、同定した分子を標的とした新たな医薬品の開発(時間創薬、Matsunaga et al., EBioMedicine. 2016)を実践している。

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