D7-2 スクリーニング機器・測定装置利用支援

ユニット名

ヒット化合物創出ユニット

支援担当者

所属 ① 北海道大学 大学院薬学研究院
② 北海道大学 大学院薬学研究院
③ 北海道大学 大学院薬学研究院
氏名 ① 前仲 勝実
② 喜多 俊介
③ 野村 尚生
AMED
事業
課題名 クライオ電子顕微鏡等の立体構造・物理化学解析を基軸とした統合的創薬支援
代表機関 北海道大学
代表者 前仲 勝実

支援技術のキーワード

化合物ライブラリー、化合物スクリーニング、物理化学測定

支援技術の概要

平成23年度から北海道大学薬学研究院に設立された創薬科学研究教育センター(北大創薬センター)を拠点とし、「化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備」から、引き続き「創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業(PDIS)」、本事業の前身である「創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)」により、一気通貫した創薬研究支援を11年間遂行してきた。本事業においても、この実績を踏襲、かつ発展させ創薬研究支援を行う。本拠点で目指す一気通貫した“創薬シーズの発掘から前臨床・企業導出までの全ステージ”をシームレスに展開するため、創薬研究支援を実施する。

支援内容

1) 創薬機器の解放

現在までに導入したスクリーニング使用や化合物分注などの創薬機器について、ホームページ等を利用して外部開放を引き続き進める。webによる機器予約システムは構築・運用しており、北大外からの利用も促進し、各段階での創薬研究に必要な創薬機器の外部解放支援を実施している。また、各機器には使用法を熟知したスタッフが利用者に対応するとともに、共用機器を利用する上での使用ルールが設定されているため、円滑な機器利用が可能となっている。開放を行った期間全体(11年間)で機器利用実績が160,235時間/17,982件であり、引き続き機器の開放を行う。(当センターHPから詳細がご覧いただけます。https://www.pharm.hokudai.ac.jp/soyaku/)

2) 物理化学的測定支援

本拠点の特色である物理化学的測定を用いた創薬スクリーニングについて支援を行う。疾患標的タンパク質とヒット化合物間の詳細な結合様式を理解するためには、表面プラズモン共鳴解析、熱量測定や、円二色性、蛍光異方性やNMRを用いた光学解析、さらに示差走査型蛍光定量法などの結合解析を多角的に評価することで初めて可能となる。これらの測定、解析は専門知識を必要するため、網羅的な化合物結合評価だけでなく、濃度依存性解析などの定量的解析も支援することで、化合物スクリーニングの質を高める。特に表面プラズモン共鳴解析、示差走査型カロリメトリー、滴定型カロリメトリーは自動化しており、独自の運用マニュアルが制定され、適切な使用ができるように整備されている。

支援技術の利用例

創薬研究支援のスキーム ~各創薬ステップでの支援内容~

・創薬相談会によるシーズ探索     北海道内外の創薬研究を支援
・化合物スクリーニング系の構築    細胞系と物理的測定系の両立
・ヒット化合物の評価         構造展開見据えたヒット選択
・構造最適化研究の支援        標的との三次元構造解析支援、(option:誘導体合成展開支援の橋渡し)
・前臨床研究への支援・橋渡し     北海道内病院との連携 

現在までに、がん、難治性疾患、新興再興感染症に重点をおき、新たなシーズの発掘を行い、前臨床研究への橋渡しを見据えた創薬研究を推進している。スクリーニング系として、細胞を標的としたフェノタイプアッセイ系だけでなく、タンパク質間相互作用や酵素アッセイ、遺伝子解析系などのアッセイ系も多く支援している。構造解析のみの支援も実施しており、標的タンパク質との構造活性相関解析や抗体複合体の構造解析などの実績もある。また、本拠点では、出口戦略を見据えた創薬支援を実施しており、橋渡し研究を担当する北海道大学病院・臨床研究開発センターとの連携により、学内シーズ発掘及びバイオバンクの利用が進み、北大病院の臨床からの提案も受けるような状況となっている。   

支援担当者の研究概要

「化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備」から「創薬等支援技術基盤プラットフォーム(PDIS)」、「創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)」の約11年間の支援活動によって、シームレスかつ総合的な創薬研究技術や機器解放などにより支援環境を整備し、特に新型コロナウイルス感染症に対する治療薬開発において、中和抗体、中分子化合物、低分子化合物と広いモダリティに対して、創薬研究に重要な役割を担うことに成功した。現在も臨床へ向けた薬剤開発を継続しており、クライオ電子顕微鏡解析を主軸とした立体構造解析により薬効の理解、さらには東大創薬機構構造展開ユニットとの連携によるADME評価を行い、連携企業を見出している。また、化合物ライブラリーの整備においては、管理運用体制を充実させ、本邦では最も多くの既存薬化合物(5000化合物以上)を有する拠点となっている。同時に、天然物やペプチド等を含む中分子化合物ライブラリー(3000化合物以上)の整備も進め、北里大学大村天然物ライブラリーのコア化合物、長崎大学および東京大学からも管理運用を引き受け、広く創薬課題へと提供できるシステムも構築している。その中でも2000中分子化合物については、膜透過等の物性評価ずみの付加価値の高いHKTLライブラリーを整備することに成功している。このように、オリジナリティーの高い実践的創薬研究を行い、特徴ある化合物ライブラリーの整備、クライオ電子顕微鏡解析の高い技術をベースに医薬品候補品の企業導出までの成果を上げてきた実績を発展させ、クライオ電子顕微鏡解析を基軸とした創薬ターゲットタンパク質の立体構造解析や物理化学解析を行うことのできる特徴あるヒット化合物創出ユニット拠点として、主に新興再興感染症や難治性疾患等を対象に、製薬企業で実施が難しい最先端基礎研究の成果に基づくアカデミア発創薬を目指す。

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