E4-3 構造最適化合成支援

ユニット名

モダリティ探索ユニット

支援担当者

所属 ① 京都大学 大学院薬学研究科
② 京都大学 大学院薬学研究科
③ 京都大学 大学院薬学研究科
氏名 ① 井貫 晋輔
② 大野 浩章
③ 有地 法人
AMED
事業
課題名 精密合成技術に基づくハイブリッド型ニューモダリティ創製の創薬支援
代表機関 京都大学
代表者 竹本 佳司

支援技術のキーワード

ハイブリッドモダリティ、遷移金属触媒、光触媒、多環式化合物、難物性化合物

支援技術の概要

特異な生物活性を示す多環式化合物、脂質、糖質、リポペプチド等を含むハイブリッド化素子の効率的供給ルートの確立、構造展開、活性・物性・動態の最適化支援を実施する。特に遷移金属触媒や光触媒反応などを用いる独自技術を活用し、これまで創薬展開が困難であった化合物群の迅速供給、誘導化支援を行う。また、上記の化合物をハイブリッド化するためのリンカー設計・導入技術も併せて提供する。合成した分子については、ライブラリー化し、供与支援を実施する。

支援技術の利用例

(1)遷移金属触媒や光触媒反応を活用した合成、化学修飾技術
(2)多環式化合物、脂質、糖質、リポペプチド等の合成経路設計
(3)多環式化合物、脂質、糖質、リポペプチド等の合成・構造展開技術
(4)脂質、糖質、リポペプチド等の難物性化合物の活性・物性・動態制御技術
(5)ハイブリッド化のためのリンカー設計・導入技術

支援担当者の研究概要

(1)遷移金属触媒反応を活用した多環式化合物の合成・構造展開
免疫抑制性分子として知られている酵素IDO1は腫瘍細胞に高発現していることが報告されており、その発現上昇により免疫担当細胞の機能を阻害する。IDO1の酵素活性の抑制により、宿主免疫応答を高めることが可能と考えられるため、IDO1阻害剤はガン治療等に有効であると期待されている。我々は、独自の金触媒連続環化反応を鍵とした化合物設計と構造展開により、良好なIDO1阻害活性を有するヒット化合物を見出した。さらにヒット化合物をもとにした構造活性相関研究を行い、活性発現に重要な置換基の情報を得るとともにヒット化合物同等の活性を有する化合物を複数見出すことに成功した。

(2)光触媒反応を活用した多環式化合物の合成・構造展開
Zephycarinatineやzephygranditineは、ヒガンバナ科植物より単離されたアルカロイドであり、四級不斉炭素を含む複雑な五環性骨格を有する。これらのアルカロイドは、様々な腫瘍細胞株に対して増殖阻害活性を示すほか、NO産生阻害による抗炎症作用を示すことが報告されている。我々は、可視光レドックス触媒によるアミノ酸誘導体の脱炭酸を伴うラジカル生成と、それに続く分子内ipso環化反応を鍵反応としてzephycarinatine CおよびDの全合成を達成した。さらに、本経路を用いて種々の誘導体を合成し、NO産生阻害活性を示す天然物誘導体を見出した。

(3)脂質分子の活性制御技術
スフィンゴシンキナーゼ(SphK)は、様々な疾患において重要な役割を担う脂質メディエーターであるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)産生経路の鍵酵素である。SphKは、スフィンゴシンからS1Pへのリン酸化を触媒する酵素であり、哺乳類において2つのアイソフォーム(SphK1, SphK2) が存在する。これらの詳細な生理機能は未解明の部分が多く、その機能解明に向けたアイソフォーム選択的な阻害剤の開発が求められている。我々はSphK阻害剤として、スフィンゴシン類縁体4-epi-jaspine Bに着目し、合成及び構造活性相関研究を行った。4-epi-Jaspine Bの側鎖アルキル鎖部分に様々な官能基を導入した誘導体を設計して、阻害活性を評価した結果、酸素原子をアルキル鎖に導入するとSphK2に対する選択的阻害活性を示すことを見出した。

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