所属 | ① 北海道大学 大学院理学研究院 | |
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氏名 | ① 永木 愛一郎 | |
AMED 事業 |
課題名 | 精密合成技術に基づくハイブリッド型ニューモダリティ創製の創薬支援 |
代表機関 | 京都大学 | |
代表者 | 竹本 佳司 |
フローマイクロ合成、連続生産、スクリーニング支援
独自のフローマイクロ合成技術を利用してハイブリッド型分子の合成およびその最適化を支援する。特に従来のバッチ型反応器では不可能あるいは極めて困難な分子変換を、高選択的な化学反応が可能なフローマイクロリアクターの活用により実現することで、これまで候補に挙がらなかったモダリティの合成技術を提供する。さらに連続生産技術を活用し、候補化合物群の大量合成を行いスクリーニングの高速化を支援する。
(1)フローマイクロ合成による複数金属置換型芳香族化合物の合成と金属選択的なカップリング技術
(2)フローマイクロアニオン重合による末端官能基化ポリマーの合成技術
(3)固相担持触媒を用いたフローカップリング反応および還元反応技術
(4)固相担持クロスカップリング反応の連続運転による医薬品前駆体の高速大量合成技術
(5)フロー電気反応による糖類のC-グリコシル化
(6)フローマイクロ合成によるグリカールの修飾技術
(7)求電子的なフルオロメチル化およびフルオロヨードメチル化技術
(8)フローマイクロ合成技術を活用した化学選択性のスイッチング技術
(1)フローマイクロリアクターによる短寿命活性種を用いる分子変換
フローマイクロリアクターの特長である精密な反応時間(滞留時間)の制御を活用することにより、数秒やそれ未満の寿命を持つ高活性な化学種の合成利用に取り組んでいる。すなわちフローマイクロリアクター内で発生させた短寿命化学種を、これらが分解する前に試薬で補足することで従来法では困難な分子変換を達成している。例えば、寿命がミリ秒スケールであるフルオロメチルリチウム種や、求電子部位を有するアルキルリチウム種などの高活性アニオン種、同じく極めて寿命の短いカルボカチオンやグリコシルカチオンなどの高活性カチオン種などを活用した独自の反応を、フローマイクロリアクターにより実証している。
(2)フローマイクロリアクターによる反応集積化
フローマイクロリアクター内で複数の試薬を連続的に添加していくことで、複数の反応をワンフローで行う反応集積化が可能である。特に短寿命活性種を中間体とした反応集積化によりバッチ型反応器におけるワンポット反応では不可能な精密な分子変換が可能である。例えば、ハロゲンーリチウム交換反応と金属交換反応を複数回行うことによるバイメタリックアレーン類の合成や、官能基化されたアルキルリチウム種に対しモノマーを順次加えるテレケリックポリマー合成などを達成している。
(3)連続フロー合成による大量合成
独自に開発した連続フロー装置を用い、フロー合成を分から時間スケールで行うことにより高品質かつ高純度な生成物を得る、連続フロー合成に取り組んでいる。これまで、フローマイクロアニオン重合の連続運転(4時間の運転で500 g)や、固相触媒リアクターを用いた医薬品前駆体の連続フローカップリング合成(20分の運転で1.7 g)を達成している。