G1-5 構造最適化合成支援

ユニット名

連携・融合ユニット

支援担当者

所属 ① 東京大学 大学院薬学系研究科附属創薬機構 構造展開ユニット
氏名 ① 安田 公助
AMED
事業
課題名 企業ノウハウとアカデミア支援経験に基づく創薬リード創製支援
代表機関 東京大学
代表者 小島 宏建

支援技術のキーワード

創薬、ヒット、リード、コンサルティング、構造展開

支援技術の概要

製薬企業における創薬研究のエキスパート*が有する企業ノウハウと東京大学化合物ライブラリーなどの創薬資源を活用し、アカデミア研究者(支援依頼者)の創薬への想いを実現する。支援依頼者の見出したヒット化合物からの創薬の方向性を探るコンサルティング、ヒット周辺のSAR情報**の把握およびBINDS事業内外の研究機関との幅広い連携に基づく構造展開を通じて、病態モデル動物で有効性を示すリード化合物を創製し、その薬物動態的裏付けを取得して非臨床POC¶を確立する。

* 企業から出向の現役創薬研究者および企業での創薬研究経験者(出向者の守秘義務は帰任後も継続)
** SAR: 構造活性相関(Structure Activity Relationship;化合物の化学構造と生物活性との相関)
¶ POC: Proof of Concept

【創薬コンサルティング】

ヒット化合物を起点とする創薬の方向性について、支援依頼者と医薬化学研究員およびADME§・物性研究員とが相談会を行う。その結果に基づいて、以下に関する助言・提案をする。

§ ADME: 薬物動態(薬物の体内動態);決定要因の頭文字 吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)をとってADMEと略記

① 支援依頼者の現在の立ち位置の確認

創薬研究の一般的な流れを説明するとともに、特許・競合状況の予備調査の結果を踏まえて、支援依頼者の現在の立ち位置についての判断を共有する。

② 企業における医薬品開発研究の視点を交えた創薬研究全体の進め方についての提案

支援のゴールとなる疾患モデル動物における有効性の確立(非臨床POCの取得)に向けて、薬剤の治療体系上のポジショニングや非臨床・臨床における開発リスクを想定の上、ヒット化合物のバリデーション、優先順位づけ、構造展開の方向性、薬物動態、安全性、知的財産権の保護、競合状況などについての懇切丁寧な説明と助言を行う。さらに、当部署およびBINDS事業内外の連携先との協力により提供可能な支援内容を含め、創薬研究の進め方に関して具体的な提案を行う。

③ ヒット化合物周辺のSAR情報の取得

ヒット化合物周辺のSAR情報の取得と更なる高活性化合物の探索のために、必要に応じて東大ライブラリー(約34万化合物)および市販化合物より選抜したヒットの構造類縁化合物を無償で提供する(評価は原則として支援依頼者が実施)。

④ リード創製研究の方向性についての提案

特許・競合状況等の外部環境およびヒットならびに類縁化合物周辺の構造、薬理活性、薬物動態、物性のデータ等に基づいて、リード化合物取得ためのリード創製研究の方向性について提案する。

【リード創製研究】

支援依頼者より提供されたヒットおよび類縁化合物の化学構造と薬理活性、構造展開ユニットで取得するin vitro ADME・物性データ等を基に具体的な構造展開計画を提案し、支援依頼者と協力してリード創製研究を実施する。AIや標的タンパク質とヒット化合物等との共結晶構造情報を活用した化合物のデザイン、合成、薬理活性評価、in vitro/in vivo ADME・物性評価のサイクルを繰り返しつつ、薬理活性とADME・物性の一体的な改善を指向した構造展開により、リード化合物の早期取得を目指す。

原則として、化合物のデザイン、合成、in vitro/in vivo ADME・物性評価は当部署もしくは連携する研究拠点で行い、薬理活性評価は依頼者側で実施する。

詳細は、https://www.ddi.f.u-tokyo.ac.jp/leu/を参照。





支援技術の利用例

① ヒット化合物の純度確認(HPLC、LC-MS) ② ヒット化合物周辺の知的財産権状況および競合する前臨床化合物・開発品等の調査およびリスク評価
③ ヒット化合物周辺のSAR情報取得のための類縁化合物の評価およびより高活性な化合物の取得
④ ヒット化合物群のクラスタリングおよび優先順位づけ
⑤ 具体的な構造展開計画立案を含むヒット化合物等を起点とするリード創製および非臨床POCの確立

<過去5年間の主な実績>

(ア) 創薬コンサルティング(51件)、リード創製研究(48件)、非臨床POCの確立(10件)
(イ) リード創製A:化合物の構造展開によりin vitro薬理活性を100倍向上(細胞アッセイ)
(ウ) リード創製B:in silico screeningによりヒット化合物の100倍のin vitro薬理活性を持つ化合物を見出し、標的タンパク質と合成化合物との共結晶構造情報に基づく化合物デザインと構造展開によりさらに活性を5倍向上(細胞アッセイ;インシリコスクリーニング支援との連携)
(エ) リード創製C:支援依頼者が実施したin vivo薬効試験結果の妥当性評価(血漿中もしくは脳内薬物濃度とin vitro薬効評価のIC50との整合性の確認と考察)
(オ) リード創製D:提供したヒット構造類縁化合物からヒット化合物よりも約15倍高活性の化合物を取得
(カ) リード創製E:in vivo薬効試験実施化合物の選抜のためのマウス薬物動態試験の実施(薬物動態解析支援(in vivo)との連携)
(キ) リード創製F:既存薬ライブラリーのスクリーニングから得られたドラッグ・リポジショニング候補の絞り込み

支援担当者の研究概要

【特色】製薬企業の創薬研究のエキスパート(各製薬企業から出向の現役創薬研究者および企業における創薬研究の経験者)を中心とした、創薬研究の専門家集団。

【目的】企業における医薬品開発研究のノウハウをアカデミア創薬に活かし、ヒット化合物を出発点とするリード創製研究を実施する。得られたリード化合物による疾患モデル動物での有効性を検証(非臨床POCの確立)し、アカデミア創薬研究の成果を臨床試験の実施に向けた企業導出や公的な医薬品開発支援事業等に繋げる。

【研究概要】上記目的を達成するため、その特色を生かして、以下2項目を中心とした支援を提供する。

1. 支援依頼者に対する創薬コンサルティング)
2. 薬理活性と共にADME・物性パラメータに配慮した構造展開の実施(非臨床POC取得のためのリード創製

【情報セキュリティー】情報漏洩防止のため、現役の製薬企業出向者には帰任後等も含む高次の守秘義務が課せられている。また、構造展開ユニット専用の実験設備を有している。

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